恭くんはスタッフさんからマイクを受けとると、ここの観客が知っていそうな出演作を出しつつ自己紹介した。
急遽の登壇だったのにすぐにマイクが出てきたり、司会の女性も焦った態度を見せずに話を振ったり……裏で変更点の打ち合わせをしたのだろう、完璧な流れだった。
恭くんに関しては、まったくのアドリブだ。
にもかかわらず、はじめから計画されていたとしか思えない慣れたトークは、もうさすがとしか言いようがない。
ちゃんと芸能人だ。
しっかりキラキラしてる。
『相良くんは、この映画に思い入れがあるんだよね?』
『はい。ぼくが今あるのは、この映画のおかげなんです』
『うん』
『米原監督には何度も伝えたんですが……ぼくは、小学生の頃にこの映画の試写を観て、役者を志しました』
ほお~、と客席から感嘆の声が上がる。



