動画の配信が取りやめになったとかじゃない。道連れにされたんだ。
「でも、この世界、ふざけた理由で仕事がポシャることなんてふつうにあるから、いちいち向きあってたらそれこそ足の引っ張りあいなんだよね」
だから気にするだけ無駄なんだ。続く言葉は声に出さなかった。
恭くんは強い、と幾度となく思わされてきたけれど、今回もやっぱり思ってしまう。
芸能界なんていう、想像もできないほど特殊な環境下でもまれてきたせいか、すでに自分のなかにはびこっていた怒りのようなやるせなさを、恭くんはもう咀嚼しつつある。
数日前のらしくない姿がまぼろしのよう。
『お待たせしました。ただいまより上映を開始いたします』
さらには、アナウンスが流れて「いよいよだね」と何事もなかったかのように笑いかけてくるから、恭くんを心配するのがおこがましくなってくる。



