言いたいことがあるのにそれをうまく吐き出せないと、気づいていたのに、悔しさをあらわにできる場所になってあげられなかった。
これまでずっと応援してきたのに、いざというとき、わたしはなにも役に立てない。
なんてちっぽけな存在なんだろう、と。
「なのに涼くんは、恭くんに言葉をかけてあげられて。それどころか、あっさり恭くんを秋祭りに連れ出した。涼くんは恭くんの双子だけど、仕事に関してはわたしのほうが見てきたって自負があったから、役目を盗られちゃったなって」
悔しかったんだ。わたしにできなかったことを、涼くんがやってのけたことが。
恭くんの芸能生活は、決して順風満帆なものではなかった。
俳優になるんだと決めてから突っ走ってきた恭くん。
この歳ですでにいろいろなドラマに出て、大きなシリーズの主役も決まって……。
けれど、オーディションに落ちつづけてきたし、ごり押しだとかいう嫌みな声もたくさん目にしてきた。



