わたしはベンチに手をついていた姿勢を正し、人ごみに紛れる恭くんの後ろ姿に視線を送った。
「顔だけ、じゃないよ。やっぱりふたりは、双子だと思う」
言い終わりに、はあ、と息を吐けば、全身の力も一緒に抜けていくようで、心のシャッターが開く感覚がした。初めて訪れる地に哀愁を感じてしまうような、そんないびつな感覚。
シャッターの開きすぎに注意しながら話を紡ぐ。
「わたしね、本音を言うと、ちょっと悔しかったんだ。……弱音を吐く恭くんになにも言えなくて」
「悔しい?」
「ずっと応援してきて、恭くんを応援する気持ちはこれからも変わらないのに、いざとなったらなにもできない無能だったから」
あの日の光景が脳裏をかすめる。
あまりちゃんとは思い出したくない情けない自分の姿が。
ここ数日のうちに配信取りやめが正式に発表された僕好きの仕事がなくなって、落ちこむ恭くんにわたしはなにも声をかけられなかった。



