一方、わたしと涼くんはというと……。
「なにがおもしろいんだろうな」
「あはは……。すごいとは思うけどね」
ずっと見ているのに飽きちゃって、足が勝手に休憩場所を探してしまった。伝統芸能の魅力に気づくのは、わたしたちにはまだちょっと早いらしい。
恭くんが楽しそうなので、踊りが終わるまでベンチに座って待つことにした。
ベンチに手をついて見上げると、高い空に響くにぎやかな声が心地よく聞こえた。秋の調べを感じる。
「あいつとは、そもそも感性が違うんだよ」
ふと、涼くんのつぶやく声が届いた。顔を隣に向ける。
「あいつって恭くんのこと?……双子なのに?」
「ほんとに双子なのかね」
「なんで? 顔そっくりじゃん」
「顔だけだろ」
「顔そっくりは双子でしょ。性格だけそっくりならそうとは言えないけど」
顔がそっくりだから、たとえ性格が乖離していたとしても双子だと思ってきた。疑う余地はない、と。
けれど、言われてみれば、それはわたしの感覚だ。
ふたりも同じように思っているとはかぎらない。



