ずしんと涼くんの体重が乗っかる。
思ったより重い!
「そんなんで歩けんの?」
「歩けます。ちょっと黙っててもらえます?」
腰を曲げながらゆっくり足を進める。
ひとまず、この裏路地を抜け出して。
「病院はどこにあるかわかる?」
「あっち」
涼くんに案内されて病院へ向かう。
着いたのは、病院ではなくアパートだった。
「病院じゃないじゃん! わたしの苦労を返してよ」
「手当てできるとこって言ったから、俺ん家」
「あっ、ここ涼くんのお家? それならいっか」
「……おまえ、マジで言ってる?」
「ん? 大マジだけど?」
涼くんは、またため息をついた。
だんだん涼くんの重みにも慣れて、階段も楽々と上がれるようになった。



