秋祭りを回ってもよし、お祭りとは関係ない観光をするのもよしだ。
「おれはどこでもいいよ」
「涼くんは?」
「メシ」
「早いよ」
すばやくツッコミを入れる。
いやたしかに、良い匂いはしてくるけどね?
「まあ秋祭りって、収穫に感謝するお祭りだからね。飲食ばっかり」
「そう言う恭くんは、本当に行きたいところないの?」
「んー……強いてあげるなら、踊りとかは興味あるかも。散歩がてら片っ端から見ていけばいいんじゃない?」
「そうだね」
そうしてわたしたちは、町をあげての秋祭りを片っ端から見ていくことにした。
涼くんはむっと頬をふくらませて。
「俺の意見は全無視かよ」
と、はじめこそ不満そうだったけれど、いくつかの屋台に寄ってえさを与えたら、すぐに満足そうな顔になった。
意外に、恭くんより涼くんのほうが素直なんだよね。感情の起伏があって、どうしたら機嫌が良くなるかわかる。
だから昔は、いじわるだけど扱いやすいと認識していた。



