涼くんは重い腰を上げるように立ちあがり、恭くんに歩み寄った。
手をポケットに入れた不遜な態度は、ある意味でいつもどおりだけれど、どこかまとう雰囲気に“色”が見えるような気がする。
色とはつまり、感情。
たとえば青が悲しみで、赤が怒り、ピンクが愛、黄色が楽しさだとして、わたしのものさしで表現するなら、なんとなく紫っぽい感じがする。
わたしのすぐそばで立ち止まり、顔だけ振り向く恭くんと視線をぶつけあう。
「わかってるなんて安い言葉で自分を守んな。むりして納得しようとしてるから絡まってんだろ」
「……べつに、むりしてない」
「うぜー……。昔からそういう、澄ますとこあるよな」
はあ、とため息を声にして吐き出す涼くん。
あからさまなそれは、あまりいい気のするものではなかったけれど、ポケットからなにかを取り出す動作を目撃して注意するのは後回しにした。
涼くんは、メモ用紙のようなものを恭くんに渡した。



