本当は、怒れる立場だと思うし、動機がゆがんでいても行動で示していけばチャラになると思うし、嘆きたければ嘆いて、怒りたければ怒ったほうがいいと言いたい。
わたしたちの前で我慢する必要がどこにあるの?って……。
だけど、簡単に気持ちを吐露できない恭くんの気持ちもわかる。
だって、それを言いたい相手は、わたしたちじゃないもんね。できることなら、今回の問題を起こした人たちに直接伝えたいはずだ。
ここにいるのがわたしたちでごめん、と心の中で謝ると無性に悲しくなってきて、なぜか耳が研ぎ澄まされた。
たぶん、意識をほかに向けようとしたんだと思う。
背後で深く息を吐く音。
耳を研ぎ澄ましていなかったら聞き逃していた。
振り向くと、身動きひとつしていなかったんじゃないかと思うほど気配を消していた涼くんが、立てひざをついて恭くんの背中を睨みつけていた。
そして、その口が開く。
「わかってるっていうけど、わかってないんだよ」



