顔はあどけなさがなくなり、体は骨ががっしりして男の人に成長しているけど、目だけは変わらない。
威嚇するケモノのような鋭い目つき。
赤く光るその目つきだけで人を殺せそうだ。
「こら!」
「──ッて! なにすんだ!」
軽く頭にチョップをお見舞いすれば怒鳴られた。
「強がらない。このままだと涼くん死んじゃうよ。見殺しにしたわたしは殺人者。わたしをムショにぶち込む気?」
「自分の心配かよ」
「ていうか涼くん、わたしのこと覚えててくれたんだね」
しばらくぶりに会うから、わたしだとわからないんじゃないかと心配していたけど、予想に反されてちょっとびっくり。
「だれだよおまえ」
「今さら遅いよ。柏井絢音。涼くんの幼なじみで、涼くんのファーストキスの相手。一緒にお風呂に入った──」
「ああもう、わかったから。だまれ」
やっぱり覚えてるじゃん。
「さあ、病院かどこか手当てできるところに行こう」
「だからさわん──」
「またチョップを食らいたいの?」
「……はあ」
涼くんがため息をついて口を閉ざしたので、わたしは涼くんを肩に抱いて立ちあがった。



