わたしたちは向かいあわせにいた。もともとそこまで距離がなかったのに、涼くんが迫ってきたことで、わずかな隙間さえなくなった。
急な距離感と、涼くんのなにか企んでいそうな表情に胸が鳴る。
小さい頃から一緒にいたからあまり感じなかったけれど、あらためて見ると、涼くんもきれいな顔をしている。こんなに至近距離にいるのに、見惚れて視線が動かなくなってしまうくらいに……。
「ほら……バカにしてるじゃん。そういうんじゃないよ。涼くんじゃなくても、ほかの男子でもいい気はしないし……」
そう言いながらも考える。
本当にそうかな? 涼くん以外の男子がああいう漫画を持っているのを目撃して、はたしてわたしは、なにかを感じるのかな。
クラスの男子で想像してみたけど、同じ感情を抱ける気がしない。
「わかってるよ」
涼くんは、自分に言い聞かせるように目を細めながらつぶやくと、顔を近づけてきた。



