「そうだね。涼くんはうちで漫画を読んでるのがお似合いだよ」
「言い方な。失礼だわ」
「失礼っていうか、事実だしね。いつもどんなの読んで……げっ」
どんな系統の漫画を好んで読んでいるのか訊こうとしたとき、ちょうどとある少年漫画をボックスから取り出した。
その表紙を見た瞬間、音にしてはいけない汚い声が出た。
「……涼くんってこういうのが好きなの?」
尋ねると、涼くんが振り向いた。
「おー、どこにあったそれ」
と、四つん這いで近づいてきて、わたしの手から漫画本を奪いとる。そして、「なつかしいな」と言いながらめくりはじめてしまった。
いや、ちょっとは見られて嫌そうな顔してよ……。
その漫画とは、わたしたちが中二のときに男子のあいだで流行ったラブコメ作品。中二と、正確に年代を覚えているのは、物語がスタートしたときの主人公と同い年だったから。
わたしは読んでなかったけど、お兄ちゃんが持っていたし、給食の時間に男子たちが大きな声で話しているのを聞いていたから知っている。



