駆け寄ってきた男子生徒と会話をしている遊佐くんを見ながら、"総長"という言葉の意味を考えてみる
このヤンキーカスタムのバイクを見れば一目瞭然だ。遊佐くんはおそらく─…
『ぼーそーぞくっ…』
小声で呟いた私に、遊佐くんが振り返った
「隠してたつもりはないけど、蓮水さん…知らないみたいだったから…黙ってた。ごめん。」
別に謝ることでは…ないと思う。うん…ただの趣味みたいなものだよね?習い事…みたいな?
『……カッコイイね、遊佐くん』
暴走族の総長さんなんて、初めて見たけど…遊佐くんがほんとにソレなのだとしたら、私が思っているよりずっと、暴走族という世界は平和な世界なのかもしれない。
だって、遊佐くんは…いい人だから。
「……やっぱ蓮水さんって、変わってる」
そう言って笑った彼に誰も逆らえない理由が分かったところで─…一つの疑問が生まれる。
暴走族の総長さんともあろう人が、これ程までに私に良くしてくれる理由は─…一体なんなんだろう?
『あの…遊佐くん、遊佐くんの好きな蓮水さんって、』
「それは─…俺が話さなくても、多分そのうち会えると思うから。楽しみにしてて」
いやっ…好きな人の好きな人に会うのを楽しみになんて…出来ないよ。



