手をついて、尻もちをついた須藤さん。その瞳には涙をたくさん溜めて─…
「ごめんなさいっ─…もうしない、、」
「──消えろよ、目障り」
遊佐くんに冷たくあしらわれた彼女は、私の横を走って通り過ぎて…去っていってしまった。
冷たくて最低な彼氏─…そんなふうに思うけど、これは今に始まったことではない。遊佐京志郎は告白されれば誰とでも付き合う。来る者拒まず去るもの追わずな人たらし。
それでもいい…っと、割り切ってみんな付き合っているし、彼が冷たくて冷酷なことは有名な話だ。
───だけど、、
『遊佐くん、さっきのはやり過ぎだと思う』
別に、正義感を持ってこんなことを言っている訳じゃない。彼を更生させたくて言ったつもりもない。
ただ─…怖かった。あんな遊佐くんを見たくなかった。それだけの話し。
「──は?なに、説教?」
『……ううん、お願い。』
「願い?」
だって好きな人には、怖い顔じゃなくて…笑顔でいて欲しいから。
『笑ってる遊佐くんの方が─…好き』
……って、何どさくさに紛れて告ってんだ私!
「……は?」
『……っえ?!!』
勝手に口から零れ出た"好き"という言葉に自分も一緒に驚いていると、遊佐くんが…笑った



