「楽しそうな遊びしてんね、俺も混ぜてよ」
上から降ってきた私を、見事にキャッチ…っというか受け止めてくれた遊佐くん。彼がどんな顔をしているのか分からないが、その声色はとても冷たくて…怒っているように感じた。
「きょ、京志郎っ…違う…仁菜ちゃんがっ、」
「蓮水さんが─…なに?」
「仁菜ちゃんがっ…、」
「だから、なんだって…聞いてんだけど」
遊佐くんは後ろから私の手首を掴み、壁に備え付けられている手すりを握らせると…私から離れて上からこちらを見下ろしている須藤さんのところへと足を進める
「京志郎っ…なんで、、さっき降りていったのに…なんで居るのっ」
「──忘れ物、したから。なに?俺が戻ってきたら何か都合の悪いことでもあんの?」
「いやっ…そーじゃなくてっ」
「嫉妬…っとか、面倒。ウザい。彼女にしてやってんだから…それらしく振舞えよ」
須藤さんの胸ぐらを掴み、近くの壁にドンッ…っと彼女の身体を押し付ける遊佐くん。その暴力的な行動を見て…胸が締め付けられる
───そんなこと、しないで
「ご…めん、なさいっ…─もうしないからっ」
「─…は?何が?お前蓮水さんに何しようとしたの?ってか…何したの?俺が来た時には既に…上から蓮水さん、降ってきてたけど?」
須藤さんの首元が絞まりそうなほど、グッと力を込めている遊佐くん。襟元を掴んだまま、今度は階段の方に須藤さんの身体を向けて─…
「同じこと、してやろうか?頭ぶつけてよく考えろ…ってそれ、お前の方じゃねぇの?」
───落ちるっ
って、思った時…遊佐くんは彼女の身体を階段側とは反対の屋上へ続くドアの方に放り投げた



