「遊佐京志郎と付き合うってことがどういうことなのか、ちゃんと分かってる?仁菜ちゃん、知らないでしょ?京志郎がどんな人間なのか…よく知らないのに好きとか言ってるんでしょ」
よく知らないから─…
知りたいって思うんだよ
好きな人のことをもっと、知りたいって思うから…怖くても、屋上に会いに行くんだよ
「喧嘩─…強くならないと、京志郎には好きになって貰えないよ?"蓮水さん"みたいになりたいんだよね?」
───蓮水さんっ、
遊佐くんの、好きな人、、
【須藤さんは遊佐くんが好きな"蓮水さん"のことを知ってるの?】
っと、問いかけようとした私に─…彼女は冷たい視線を向けてから、再び私の肩に手を触れて
「──…頭ぶつけて、よく考えたら?」
ドンッ…って、今度は力いっぱい身体を押されて…すぐ後ろが階段だったので、、落ちるっ、
っと、覚悟して目をギュッと瞑ったとき─…すぐ真下に誰か立っていたのか、思っているよりずっと早く背中に衝撃を感じて驚いた
衝撃…っと言っても、落ちて背中を強打したとかそういう類のものではなく…"誰か"が受け止めてくれたって…そんな衝撃。
そしてその"誰か"は、、振り返って名前を聞くまでもない。だってついさっきまで一緒に居た人だから…覚えてるんだ。彼の匂い─…ジャスミンみたいなフローラルな…優しい香り。



