「………蓮水さん、もう昼休み終わる」
えっ…?っと、遊佐くんに聞き返した時…予鈴のチャイム鳴り響いた。
「また明日、一緒に飯食おう」
そう言って、手に持っていたジャスミン茶を私に手渡した遊佐くんは先に屋上を出ていってしまった。
───なんだろう、この違和感は。
いや、別に予鈴が鳴ったから…教室に戻るのは当たり前なんだけど、、さっきの"総長"という発言について、誰も何も答えなかったのが妙に気がかりだった。
『………聞き間違い?』
っなわけ、ないよな?!だってあんな大声でハッキリ総長って、、んー…考えても分からない
分からないことに時間を使うのは無駄だ。明日遊佐くんに会えた時に聞けばいい。
そんなふうに思いながら自分も屋上を出た時、扉を開いてすぐのところに立っていた遊佐くんの彼女と鉢合わせてしまった。
「仁菜ちゃんさ、どういうつもり?京志郎と今付き合ってるのは私なんだけど?」
恋愛ドラマのような展開に心臓がバクバクと嫌な音を立てる。こんな怖い目で誰かに睨まれたのは初めてなので…普通に怖い。
「私、まだ別れてないんだけど?なんで京志郎の周りウロウロしてるの?ルール違反じゃない?」
───ルール違反…?
誰かを好きになることにルールなんて、存在するのだろうか?確かに遊佐くんは人間離れした神のようなルックスの持ち主ではあるが…所詮ただの人間。同類。私と遊佐くんは同じ人類
「……人の話、聞いてる?」
おっと、感情が溢れ出して脱線してしまった
『……私は、遊佐くんのことが好きです』
彼女である須藤さんには、伝えておくべきだと思った。無理やり奪うようなことをするつもりは無いけど…遊佐くんが"いいよ"って言ってくれるうちは…そばに居たいと思ったから、
「──は?だから何?そんなこと言われて"はい、そーですか"って別れるわけないじゃん」
トンっ…と、私の肩を押した須藤さん。攻撃的な彼女の態度に怯んだ私を見て…須藤さんは笑った



