「……仁菜、やめといたら?遊佐京志郎ってなんか何考えてるか分かんないし。それに今はアイツ彼女居るんだよね?彼女いる人に近付くようなこと、仁菜にはして欲しくないよ」
確かに─…
彼女…須藤さんの気持ちを思うと、私のしている事は間違っているだろう。誰かを不幸にしてまで自分が幸せになりたいとは思わない。
『……そーだよね、今日屋上に行って遊佐くんと話せたら、、もうここには来れませんってちゃんと断ってくる』
「うん。その方がいいと思う…また遊佐京志郎がフリーになったらその時に、気持ち伝えてみたら?」
そっか…うん、そーだよね。その方が迷いなく遊佐くんに近づけるし…堂々と告白できる!
まぁ、遊佐くんが屋上に呼んでくれるのもそもそも今日でおしまいの可能性だってあるし…とりあえず今日、屋上で遊佐くんとちゃんとお話を─…
っと意気込んで、昼休み…向かった屋上。
「─…はい、これ蓮水さんの」
ガサッと袋ごと渡されたたくさんのパンやおにぎり。いや、これを一人で食べるのはさすがに無理な気がするんですけどっ、、
───っていうかっ!!
『っ…あの、お金払います。』
ポケットから財布を取り出すと─…遊佐くんは私の手の中から財布を奪い取り、それを私の頭の上にちょこんと乗せた
「金要らねぇから、代わりに財布乗せたまま飯食って」
……んーと、なんのプレイ?
いやいやいやいや、なんでそんな楽しそうなの?!笑わないでっ…カッコよすぎるんだって!!
「………顔、すげー赤いけど。どうしたの?」
私のおデコに触れた遊佐くんの手。冷え性なのか、彼の手はとても冷たかった。
「熱は無さそーだね、とりあえず…食えば?」
食え…っと言われ、弾かれたように袋の中から適当にパンを1つ掴んで『い、いただきますっ』っと声をかけてからパンを一口かじった。
『……っあ、』
「……雑食?袋ごと食べる人間初めて見た」
緊張と焦りで、開封する前に口の中に押し込んでしまった。恥ずかしい、死にたい。
「蓮水さんっ─…面白い」
ボトっと、頭の上から財布が落下した。いやだって…遊佐くんがとても優しく笑うから、、
「……寝癖、ついてる女って、、可愛い」
……なに?っえ、なになになになに?!



