「はい、到着─…蓮水さん、おいで」
以前、バイクから飛び降りて私が足を捻挫したことを覚えてくれていたらしい遊佐くん。
今日は"おいで"なんて言って手を広げてくれるから…迷うことなくその胸に飛び込む。なんて幸せな時間なんだろう…このあと地獄に突き落とされるというのに。
「行こうか、今日は蓮水さん出勤してるみたいだから─…やっと紹介できるね」
オワター…休みかもしれない、っという僅かな可能性にかけていたのですが…それも儚く散ってしまった今、もう開き直って笑顔を振りまくのが一番いい策だろう。
どんな美女が登場してきても動じない、鉄壁の仮面をつけて…涙なんて一滴も流さない!私は最後まで笑顔の蓮水さんを貫き通すんだ!!
「………あれ?遊佐?なに、お前学校は?」
カフェの入口のドアに遊佐くんが手をかけた時だった。背後から、遊佐くんの名を呼ぶ男性の声が聞こえた。
顔が広いなぁ…どこに居ても声を掛けられる遊佐くん。ほんと凄いよね…まぁ美男子だし、それはもう生まれ持った宿命的な、
「…あ、蓮水さん。お疲れ様です」
………ん?
「あぁ、お疲れ…って俺いま出勤してきたところだし。別に何も疲れたことしてねぇけどな」
「マジすか、すげぇタイミング。また蓮水さんが居ない時に店入るところだったぁ…」
ちょっと待って、いや…まさかな?



