その時、屋上のドアがギィーっと音を立ててゆっくりと開いた
「───京志郎、」
っと、遊佐くんのことを下の名前で呼び捨てて呼んだ彼女は─…遊佐くんの"今の"彼女、、
須藤 舞花さん。
綺麗な栗色の長い髪を、毛先の先までしっかりと巻いているような…美意識の高い彼女。
朝が苦手で─…手ぐしで適当にお団子を作って髪を束ねている私なんかとはまさに天と地の差
「………なに?」
視線だけを須藤さんに送った遊佐くんは、私がかじったジャムパンをなんの躊躇いもなくご自身の口元に運んで─…モグモグと咀嚼し始めた
────間接、キッスっ!!!
「なに…って…昼休み、私とご飯食べるって約束したよね?あと10分で終わるんだけど?」
お昼を約束していた…っと嘆く彼女に、遊佐くんは不思議そうな表情を浮かべて、、
「それ…承諾した覚え、無いんだけど。約束って言葉の意味…知ってる?頭悪いね、お前」
お前…っと呼ばれた彼女は、遊佐くんのことを睨みつけて─…その後、隣にいる私へと視線をズラして…更に怖い顔で今度は私のことを睨みつけてきた
いや、そりゃ…そーなりますよね。先約があったなんて知っていたら私だって来なかった。



