「驚いたよね…普段はあんな、暴力的なことをするような人じゃないの。あれは全部、演技。私に暴力をふるってるところを見れば蓮水さんがついてくるって分かってたから…あんな風に髪の毛を掴んだだけ。後で、蓮水さんと遊佐くんが居なくなってから…物凄く謝られた。いいって言ってるのに美容院の予約までされて…」
聞けば、髪を乱暴に掴んでしまったことに猛省した日向さんは美容院に連絡してトリートメントの予約を早急に取り付けたらしい。
それを聞くだけでとても彼女思いな良い彼氏だなぁとは思う。だけど─…
『どうしてそこまでして、私と話したかったのかな?』
それだけはどう考えても分からない。私なんかと話しても何も得るものなんてないのに、
「遊佐くんの中学の時の話しって…知ってる?友達を失った…みたいな」
勇牙くん…っと私が小声で呟くと絵莉さんは静かに頷いた。
「あの事件以来、遊佐くんは中学のときの友達との連絡を一切経ったんだって。会いに行っても無視されたり他人扱いされる…って、日向くんはとても辛そうにしてた」
『絵莉さんは、その頃から遊佐くんと知り合いだったの?』
「いや…私は日向くんと幼なじみってだけで。中学は私立に通ってたから…遊佐くんとは中学が違うから、私と遊佐くんは知り合いでは無かったよ。」
そっか…だから彼女になったところで遊佐くんは絵莉さんが日向くんの彼女だってことを知らなかったんだね。
「私が入学した高校にたまたま遊佐くんが居て…日向くんの家で写真を見たことがあったから、遊佐くんが日向くんの友達の…あの遊佐くんなんだってすぐに気付いて─…」
絵莉さん曰く─…遊佐くんは勇牙くんの事件以来ほとんど学校には行かなくなったらしく、遊佐くんの志望校なんて誰も知らなかったみたいで。
日向くんは遊佐くんと同じ中学だったけど、ひたすら遊佐くんが一人孤立して誰とも関わらずに離れていく姿に失望していつしか日向くん自身も遊佐くんを避けるようになったのだとか。



