「……おーい、聞いてる?間違って入っちゃった感じ?だったら悪いこと言わねぇから、早く戻った方が─…」
「──蓮水さん、こっち」
ガヤガヤと…騒がしかった空気が一瞬にして静寂に包まれる。それは、絶対的存在…スクールカーストナンバーワンの遊佐サマが、私に声を掛けたからだ。
─…こっち、っと言われて…弾かれたように遊佐くんの元まで走った私に、彼は持っていたコンビニの袋の中から菓子パンを一つ取り出すと
「……ん、あげる」
って。私の手の中にジャムパンを置いた彼は…隣で焼きそばパンを静かに食べ始めた。
──…ん?
っえ、なんだろうこの展開は。
何故、いま私の手の中には遊佐サマの私物のジャムパンが?これ…食べていいってこと?いやそんなおこがましいっ!持ってろって意味?机みたいな、そういう扱い?!
「──…食えよ」
『っあ…はい、いただきますっ!!』
食え…っと言われ、慌ててジャムパンを開封した私は…ここでもまたドジっ子を発揮する
『……っああ!!』
勢いよく開封されたジャムパンは、袋から飛び出して宙を舞い─…ポンっ…と、お隣の遊佐くんの膝の上に乗っかってしまった。
───詰んだ
「……返せ、とは言ってない」
遊佐くんは膝の上に乗っかったジャムパンを手に取ると…隣でしゃがみこんでいた私の顔の目の前にそれを差し出してきて─…
「はい、あーん」
って。いやいやいやいやっ!!これはこれで公開処刑なんだがっ?!



