ウザくアザとい麻斗くん【完】

Ran side

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「─…藍ちゃん、先生との約束…破ったね?」



病院で久しぶりに顔を合わせた外科の先生。約束という単語をきいて、隣で一緒に話しを聞いていた父親が首を傾げる



それもそのはず。父は知らない。あの時はお母さんが先生の話しを聞いていたから─…




『……少し前に友達に手を引かれて一緒に走った。ほんの少しの距離だったし…休めばすぐ痛みは引いた』


「うん……で?今日は?」


『………自転車を漕いで坂道を登った』


「そういう激しい運動は、まだダメだって言ったよね?」




だって、仕方ないじゃん。私だって途中から日向の後ろに乗せてもらえば良かったと後悔したけど─…どうしてもそれは、嫌だったんだ




「せっかくリハビリ頑張ったのに、自分で悪化させるようなことしちゃ…ダメでしょ。」


『ごめんなさい』



骨折…なんて人生で経験をしたことがなかった私は、あの入学式の日初めて足首を骨折した。



それまでは知らなかった。骨折にも色々種類があるなんて、考えたこともなかった。松葉杖をついたり、ギプスをつけたり…そういうので治るんだろうなってなんとなく思っていたけど、中には手術をするパターンもあると聞いて…




当時無事に生き延びた私はその驚愕の事実にただただ怯えた。幸い剥離骨折と靭帯損傷で手術に至るほど重いものでは無かったが、ギプスで三週間弱固定し、松葉杖がかかせない生活を余儀なくされた。




そんな状態で学校に行くのがどうしても嫌で…入学してから二ヶ月弱、あえて学校には行かなかった訳なのだが、、




「…学校で、何かあった?大丈夫?」



ここに運ばれてきた時が入学式の日で、あの日意図的にケガを負った私のことを…先生はとても心配してくれているみたいだった。