『……私ね、篠宮のことが好きなんだ。初めて好きになった人なの。今日ね…篠宮が学校に来てなくて…それが心配でっ、篠宮の友達に会いにあの高校まで自転車に乗ったら…足が限界だったみたい。心配かけてごめんね。迎えに来てくれてありがとう、お父さん』
父はため息を吐くと、"少し待っていなさい"っと言って病院の中に消えていった。
少しして戻ってきた父は病院の貸し出し用の車椅子を押していて、後部座席のドアを開き…私の身体を支えながらソレに乗せてくれた
「娘の彼氏が不良なんて、父としては複雑だ」
車椅子を押しながらそう言った父に…思わず頬が緩む。まさか恋愛事情を父親にする日がくるとは夢にも思わなかった。
『正確に言うと、まだ彼氏じゃないよ?だって篠宮には他に付き合ってる人が居るしっ、』
「………なに?つまり、藍を都合のいいように利用してるってことか?」
『っあ、違くて!!理由があって付き合ってるだけで、気持ちがある訳じゃ、』
「好きでもない女と付き合うような男なのか?……やっぱり信用出来ない。今からでもカナダにっ」
『わーわーわーっ!!やめて、嘘だから!全部冗談だからぁぁ!!』
こんな風にお父さんと会話をするのは小学校低学年のころ以来…?もしかしたらもっと幼少期?すぐに思い出せないほど昔にしかない父親との記憶。それでも今確かに私は父親からの愛情を感じている
「しばらく…入院だ。この機会に詳しく足の具合を検査してもらおう」
手続きを済ませた父の言うことを素直に聞く。自分でも少し身体を労わってあげたいと思っていたから。
──…ちょうどいい。
退院するまで篠宮には絶対に連絡してやらない。私が居なくてもきっと今頃は遊佐くんと日向と仲直り出来ている頃だろうし寂しくなんて無いはずだ。色々と隠し事をしていたことを後悔させてやる。絶対に、私から連絡なんてしてあげない。
いっぱい心配して─…いっぱい私のことを考えて、、早く、私のことを迎えに来てよ…麻斗。



