ウザくアザとい麻斗くん【完】



「……え、なんで居るの?」


日向に呼ばれたと思われる遊佐くんは、校門の前でAZカスタムされたママチャリに跨っている私を見て困惑した表情を浮かべる。



『篠宮が…志帆さんの父親に殴られて監禁されてるの。私にはどうにも出来ないから…遊佐くん助けてください、お願いします』



はい、すみません…オーバーに伝えました。



「……は?なに、どういうこと?」


「麻斗、一人で責任負って志帆と付き合ってたんだって…俺もそれ、知らなくて。いや…突然音信不通になった遊佐のことを許したわけじゃないけどさ…俺一人じゃ力不足なのは分かってるから」


「………今から志帆ん家にいる麻斗を連れ戻しに行くってこと?」


「まぁ…そんな感じ」



遊佐くんは少し考えるような素振りを見せてから、小さく息を吐く。それはため息というよりも何かを悟ったような─…




「ちょうどいい、俺もお前らに話があったから…さっさと麻斗を奪還して、決着付けよう」


「あぁ…そうだな。覚悟は出来てる」




遊佐くんは日向の乗っているバイクの後ろに慣れたように座ると、チラっと私に視線を寄越した




「……あ。俺がチャリ漕ごうか?」



私も同行するとでも思っているのか、要らぬ気を回してきた遊佐くんにフルフルと首を横に振って拒否の意思を示す。




『私の中の篠宮は暴走族の総長なんかじゃないから、ここから先は一緒には行かない。』



行けない─…だって篠宮の口から聞いたわけじゃないから、彼はまだ私が色々知ってしまったという事実を知らない。




ちゃんと篠宮の口から全部聞いてから、改めてしっかりと文句を言わせてもらう。