「…でも、何でお父さんって
お母さんにあんなに溺愛が過ぎるの?」

「…それはいまだによく分からないわね。
学生時代にお母さんのどこが好きか聞いた事があるんだけど…その時お父さん、100個以上
好きな所をあげてきて…もうそれからは面倒くさいから聞いてない」

「…お父さん、凄い執着心だね」

「人を好きになるって…理屈じゃないのよね」

「お母さんはお父さんの事、
同じように溺愛してるの?」

「…愛してるけど、あんなにまでは、」

そうお母さんが言った瞬間だった。


「瑞樹、」


凄く機嫌悪そうな声でお母さんを呼び、
寿を抱っこしながら現れたお父さん。


「瑞樹は俺の事、
そんなに好きじゃないのか?」

どこから聞いていたのか
お父さんはお母さんに詰め寄る。

でもお母さんは
そんなお父さんにもう慣れているのか

「じゃあ、菜美いってらっしゃい」

と、お父さんには見向きもせず
私を笑顔で送り出そうとしており…

「こら、瑞樹、無視すんなって…」

お父さんはそう名前を呼びながら
私の前でお母さんの唇に無理矢理キスをした。


「…ちょっ、しず、子供の前でやめてって、」

「可愛い、瑞樹…」

…寿がお父さんに抱っこされながら
キスをガン見してる。

凄く濃厚なキスだし…

妊娠中のお母さんの行動を心配をしてる割には
お父さんが一番お母さんの身体に負担かけてる
ような…そう思っていれば


「急げ急げ~遅刻だ~!」

「ちょっと、永、邪魔なんだけど!!」

「うるせぇ、死ねくそ女!!」

「あれ?体操服忘れてたー!!」


もはやそのキスなんか日常の一部。
もはやアメリカ感覚の兄弟達は
それぞれスルーするように
競うように玄関で靴を履き、
学校へと向かっていく。