私は主婦。幼いお兄ちゃんと妹、二児の母である。田舎の一戸建てに住んでいるが、夫は出張中。
 私たちは平和に暮らしていた。
 ところが、そんな平和をぶち壊す出来事が起こった。
 私たちの家に侵入者が現れたのだ。
 そいつらはどっからともなく現れた。
 子供たちが、誰かがいる、と騒ぐ。心配して、家の中をくまなく探す。何者かがいる気配がする。
 ずっとそんな生活が続いた。
 神社に言ってお祓いしてもらうかとも思った。
 夫に電話で相談するが、気にするな、と言われた。信じちゃいない。
 やがて、何者かは確かな実体を持ってくる。
 ある日子供たちが叫び声をあげた。
 「おばあさんが、白いおばあさんがいた」
 子供たちはいった。私はぞっとした。
 そうしたある日、居間に白髪のおばあさんがはっきりといた。私は背筋が凍った。しかもおばあさんはテーブルについていて、向かいには黒い服の不気味な男がいて、何か書いていた。
 おばあさんの周りには子供たちが。
 「おばあさん出てって」
 と、妹がいった。
 「おばあさん出てって」
 と、おばあさんが復唱した。すると、黒い服の男がそれを筆記しているよう。
 「おばあさん、何しに来たんですか?」
 と、お兄ちゃん。
 「おばあさん、何しに来たんですか?」
 と、おばあさんが復唱。男がそれを筆記。
 私はぞーっとした。しかし勇敢にも、おあばさんに向かい合おうと思った。
 「あの、おばあさん、あなたはどなたですか?」
 と、私はいった。
 「二十代後半から三十代くらいの女性だ」
 と、おばあさんはいった。それを男が筆記しているよう。
 「あの、おばあさん、あなたはどなたですか?」
 とおばあさんはいった。それを男が筆記しているよう。
 「あの、おばあさん、一体何をしているんですか?」
 と、私はいった。
 「あの、おばあさん、一体何をしているんですか?」
 と、おばあさん。そうして、それを男が筆記しているよう。
 「あのう、おばあさん」
 と、私。
 「あのう、おばあさん」
 と、おばあさん。やはり、男が筆記しているよう。
 だめだ、通じない。その時、
 「なんまいだ、なんまいだ」
 と、おばあさんが念仏を唱え始めた。
 私はぞーっとした。
 「なんまいだ、なんまいだ」
 と、おばあさん。
 「キャー」
 と、子供たちが悲鳴をあげた。
 「なんまいだ、なんまいだ」
 と、おばあさん。
 背筋が凍った。
 「おばあさん、やめて」
 と、私は、叫んだ。私は子供たちを抱いた。
 「なんまいだ、なんまいだ」
 「やめて!私たちはまだこの世にいたいの!」
 と、私は叫んだ。