そこはZ市。ある日、死刑囚の脱獄犯が逃げた。市の人は恐怖した。しかし、このことに関し、勇気のある者たちがいた。若者たちである。若者たちは自警団を組織した。そうして、脱獄犯は海岸に逃げ込んだときいた。若者たちは海岸へといった。
　若者たちは脱獄犯とみられる者を見つけた。つめより取り囲む若者たち。そうして屈強な若者がその者を捕まえようとした。しかし、その者は抵抗した。屈強な若者はその者を押した。その者は岩に頭をぶつけて、絶命。若者たちは警察を呼んだ。若者たちは正当行為を主張。とりおさえようとしたところ、抵抗したための事故。これは超法規的違法性阻却事由だと。しかし、警察官たちは怖い目でにらんできた。なぜ。

　年配の警察官はその者のバッグから何かを取り出した。それは青い手帳。これって、何？


　そう、これは精神障害者福祉手帳。なぜ、その者はそんなものを。

　そう、その者は精神障害が、あった。それって、その者は異常犯罪者ってこと？


　でも警察官は若者たちを怖い顔をしてにらんでいた。そうして年配の警察官はその者のバッグに精神障害者福祉手帳があるのをさもわかっていたよう。これって・・・・・・・。

　
　そう、年配の警察官はその者をよくしっていた。だからこそ、若者たちをにらみつけた。

　それって・・・・・・・・。




　そう、その者は脱獄犯じゃなかった。海岸に脱獄犯が逃げ込んだというのは誤報だったのだ。


　じゃあ、その者って一体？

　

　そう、その者は精神障害者。精神障害者って、幻覚妄想で錯乱していると、警察に職務質問にあったり、通報される。それは逮捕ではなく、保護するため。

　そう。その者はよく精神錯乱に陥って、警察に通報されていたのだ。とりわけ年配の警察官に保護されることが多かったと思われる。だから年配の警察官はその者を知っていた。またカバンの中に精神障害者福祉手帳があることを知っていた。そうして、その者が精神障害を持っているものの、立派な人間であり、市民であり、一般のものであり、まっとうなものであり、まともなものであり、まじめな人間であると知っていたのだ。
　

　年配の警察官は脱獄犯でもなんでもない立派な市民をあやめられ、怒っていたのだ。