ここは海岸のあるZ市。ここで、刑務所から死刑囚が脱獄した。男性の死刑囚とのこと。市民は恐怖した。
しかし、このことに関し、勇気ある行動をとったものたちがいた。若者たちである。若者たちは自警団を組織した。
やがて、ネットで、脱獄犯が海岸に逃げ込んだという情報が流れた。海岸沿いの人々は恐怖した。そこで若者たちの自警団は海岸に逃げ込んだ脱獄犯をつかまえにいくこととなった。
それは秋の夕方、どんよりと曇っていた。まだ暑かった。秋の日の海岸は誰もいなかった。
だが、若者たちは見つけた。それは中肉中背、長い髪の毛をくくり、赤いリュックを背負い、青い大きいバッグを持った者だった。
それは、ネットの情報と一致していた。
「あいつだ、あいつに違いない」
と、若者。若者たちはそのものへと行った。若者たちはその者へと近づいた。その者は何事かと驚いていた。若者はその者を取り囲んだ。その者は、岩の近くにいた。中年くらいだった。
「おい不審者」
と、若者の一人が言った。
「え」
その者はきょとんとした。
「不審者おるよな」
「ナイフ持ってんじゃないか、刃物持てんじゃないか」
「あんなヤンキーが刑務所から出てきた」
若者たちは口々にいった。
「え」
その者はびっくりしていた。
「不審者」
「不審者だよな」
「かばん中、何持ってんだ?」
若者は強くいった。
「は、そんなの人の勝手じゃないか。だいたいなんで、どこの誰ともつかないあんたらにそんなこという義務があるんだ」
と、その者は言った。
「こういう考え方わからん?」
と、若者。
「え」
と、その者。
「自分のこと不審者って思わん?」
と、若者がいった。
「は?」
と、その者。
「本当にこういう考え方わからん?」
と、若者はいった。
その者は心外という様子。
「ええい、話がわからん。とっつかまえてやろう」
と、屈強な若者がいった。
「え」
と、その者はびっくりした。
屈強な若者がその者に詰め寄った。
「な?」
その者は後ろの岩へと後ずさった。
「おい、おとなしくしろ」
屈強な若者はいった。
「な」
屈強な若者はその者をとりおさえようとした。
「な、なにするんだ」
その者は抵抗した。屈強な若者はおもわず、その者を強く押した。
「わあ」
と、その者はいって、岩に倒れ、頭をぶつけた。
「え」
若者たち。その者はぐたーっとなって、岩の下に倒れた。屈強な若者はたちすくんだ。一人の女性がその者に近づいた。
女性はしゃがんだ。女性はその者をじっと見た。
「なくなってる」
と、女性はいった。若者たちはぞっとした。屈強な若者は呆然とした。
「し、しかたねえよ。こいつが抵抗したから悪いんだ。他行為可能性はなかった。責任阻却自由だ。それにこいつはどうせ死刑囚だ」
と、法律に詳しい若者がいった。
「とにかく警察をよぼう」
そうして、若者たちは警察を呼んだ。
やがて、救急車のサイレンが鳴った。救急車とパトカーが来た。やがて、担架を持った救急隊員と警察官が複数人来た。救急隊員は若者たちのところへ来た。
「この方ですね」
と、救急隊員は倒れているその者を見やった。
「は、はい。抵抗したので、押し倒したら・・・・・・・」
と、若者。
「はい」
と、救急隊員。年配の警察官がその者を見ていた。
「間違いない」
と、年配の警察官はほかの警察官にいった。
若者たちはほっとした。やっぱり脱獄犯だったんだ。
「お願いします」
と、年配の警察官は救急隊員にいった。救急隊員はその者に寄った。
「どうですか」
と、年配の警察官。
「だめです。助かりません。ですが、念のため、病院に連れていきます」
と、救急隊員。
「そ、そうですか」
と、年配の警察官は生け捕りにできなかったことをくやしがっているよう。若者たちは笑顔になった。救急隊員はその者を運んで行った。
年配の警察官は、その者の持っていた青いボストンバッグを取った。そうして、チャックを開け、中をまさぐった。警察官は慣れたてつきだった。若者たちはいぶかしんだ。警察官はやがて、青い手帳を出した。
「間違いない」
と、年配の警察官はいった。なんだろう、あれ、と若者たちは思った。年配の警察官はそれをほかの警察官にわたしていった。警察官はそれを確認した。そうして、無線で何やら話していた。若者たちはなんか様子がおかしいと思った。
警察官たちは怖い目つきで、若者たちをにらんできた。若者たちはぞっとした。
「何があったか、聞かせてもらえますか」
と、年配の警察官が怖い声でいった。
「あの、俺たちは脱獄犯が逃げたときいて、自警団を結成しました。そうして、脱獄犯が海岸に逃げ込んだと聞きました。それで、犯人を捕まえるために海岸に来ました。犯人を追い詰めたのですが、抵抗したため、こいつが押したんです。仕方なかった。ほかになすすべはなかった。他行為可能性はなかった。正当行為です。それで、犯人は押し倒され、岩に頭をぶつけて・・・・・・・・、というわけです。これって超法規的違法性阻却事由ですよねえ」
法律に詳しい若者が自信をもっていった。
しかし、警察官たちはますます怒っているように思えた。え、どうして、あれは仕方なかった。正当防衛だろう。なぜ。瞬間、若者たちは意味がわかってぞっとした。
しかし、このことに関し、勇気ある行動をとったものたちがいた。若者たちである。若者たちは自警団を組織した。
やがて、ネットで、脱獄犯が海岸に逃げ込んだという情報が流れた。海岸沿いの人々は恐怖した。そこで若者たちの自警団は海岸に逃げ込んだ脱獄犯をつかまえにいくこととなった。
それは秋の夕方、どんよりと曇っていた。まだ暑かった。秋の日の海岸は誰もいなかった。
だが、若者たちは見つけた。それは中肉中背、長い髪の毛をくくり、赤いリュックを背負い、青い大きいバッグを持った者だった。
それは、ネットの情報と一致していた。
「あいつだ、あいつに違いない」
と、若者。若者たちはそのものへと行った。若者たちはその者へと近づいた。その者は何事かと驚いていた。若者はその者を取り囲んだ。その者は、岩の近くにいた。中年くらいだった。
「おい不審者」
と、若者の一人が言った。
「え」
その者はきょとんとした。
「不審者おるよな」
「ナイフ持ってんじゃないか、刃物持てんじゃないか」
「あんなヤンキーが刑務所から出てきた」
若者たちは口々にいった。
「え」
その者はびっくりしていた。
「不審者」
「不審者だよな」
「かばん中、何持ってんだ?」
若者は強くいった。
「は、そんなの人の勝手じゃないか。だいたいなんで、どこの誰ともつかないあんたらにそんなこという義務があるんだ」
と、その者は言った。
「こういう考え方わからん?」
と、若者。
「え」
と、その者。
「自分のこと不審者って思わん?」
と、若者がいった。
「は?」
と、その者。
「本当にこういう考え方わからん?」
と、若者はいった。
その者は心外という様子。
「ええい、話がわからん。とっつかまえてやろう」
と、屈強な若者がいった。
「え」
と、その者はびっくりした。
屈強な若者がその者に詰め寄った。
「な?」
その者は後ろの岩へと後ずさった。
「おい、おとなしくしろ」
屈強な若者はいった。
「な」
屈強な若者はその者をとりおさえようとした。
「な、なにするんだ」
その者は抵抗した。屈強な若者はおもわず、その者を強く押した。
「わあ」
と、その者はいって、岩に倒れ、頭をぶつけた。
「え」
若者たち。その者はぐたーっとなって、岩の下に倒れた。屈強な若者はたちすくんだ。一人の女性がその者に近づいた。
女性はしゃがんだ。女性はその者をじっと見た。
「なくなってる」
と、女性はいった。若者たちはぞっとした。屈強な若者は呆然とした。
「し、しかたねえよ。こいつが抵抗したから悪いんだ。他行為可能性はなかった。責任阻却自由だ。それにこいつはどうせ死刑囚だ」
と、法律に詳しい若者がいった。
「とにかく警察をよぼう」
そうして、若者たちは警察を呼んだ。
やがて、救急車のサイレンが鳴った。救急車とパトカーが来た。やがて、担架を持った救急隊員と警察官が複数人来た。救急隊員は若者たちのところへ来た。
「この方ですね」
と、救急隊員は倒れているその者を見やった。
「は、はい。抵抗したので、押し倒したら・・・・・・・」
と、若者。
「はい」
と、救急隊員。年配の警察官がその者を見ていた。
「間違いない」
と、年配の警察官はほかの警察官にいった。
若者たちはほっとした。やっぱり脱獄犯だったんだ。
「お願いします」
と、年配の警察官は救急隊員にいった。救急隊員はその者に寄った。
「どうですか」
と、年配の警察官。
「だめです。助かりません。ですが、念のため、病院に連れていきます」
と、救急隊員。
「そ、そうですか」
と、年配の警察官は生け捕りにできなかったことをくやしがっているよう。若者たちは笑顔になった。救急隊員はその者を運んで行った。
年配の警察官は、その者の持っていた青いボストンバッグを取った。そうして、チャックを開け、中をまさぐった。警察官は慣れたてつきだった。若者たちはいぶかしんだ。警察官はやがて、青い手帳を出した。
「間違いない」
と、年配の警察官はいった。なんだろう、あれ、と若者たちは思った。年配の警察官はそれをほかの警察官にわたしていった。警察官はそれを確認した。そうして、無線で何やら話していた。若者たちはなんか様子がおかしいと思った。
警察官たちは怖い目つきで、若者たちをにらんできた。若者たちはぞっとした。
「何があったか、聞かせてもらえますか」
と、年配の警察官が怖い声でいった。
「あの、俺たちは脱獄犯が逃げたときいて、自警団を結成しました。そうして、脱獄犯が海岸に逃げ込んだと聞きました。それで、犯人を捕まえるために海岸に来ました。犯人を追い詰めたのですが、抵抗したため、こいつが押したんです。仕方なかった。ほかになすすべはなかった。他行為可能性はなかった。正当行為です。それで、犯人は押し倒され、岩に頭をぶつけて・・・・・・・・、というわけです。これって超法規的違法性阻却事由ですよねえ」
法律に詳しい若者が自信をもっていった。
しかし、警察官たちはますます怒っているように思えた。え、どうして、あれは仕方なかった。正当防衛だろう。なぜ。瞬間、若者たちは意味がわかってぞっとした。


