光の考えた作戦を、みんなに伝えた。

「で、でもそれで何も起きなかったら……光がヤバいじゃんか!」

 空太が不安そうに、光を見る。
 
「今はもうそんな事言ってられないから! みんな早く!」

 光の作戦を、みんな聞くことにした。

 追いかけ鬼は、これからの食事が楽しみのようだ。
 舌を出して、二匹で左右交互に行ったり来たりして近づいてくる。

『ぐひひひひぃどんな味がするのかなぁ』『この、こどもはぁ~やっぱりうまそうだあ』

 光のことだ。
 麻那人に付与された力とは知らない追いかけ鬼は、光の存在が特別な人間に見えているのだろう。

「追いかけ鬼! 私はね! すごく美味しいらしいよ!」

『おいじぃいいいいい』『おいじぃいいいいいいい』

「だから私を一番に食べた方がいいよ!」

 光の言葉に乗せられて、二匹の追いかけ鬼が牙を剥く!
 そして一気に襲いかかってきた!

「サンダーアロォオオオオオオオ!」

 真横に一直線、サンダーアローを放つ。
 それは追いかけ鬼には当たらない!

「みんな走って!」

「「「「うん!」」」」

 五人で一気に走り出す!
 そしてラーと空太。
 リィとルル。
 体育館から校庭に出る両開きのドアを開け放った!

 光のサンダーアローは、そのドアの鍵を貫いていたのだ。