いつ噛みつこうか、見定めている獣のようだ。
 まるでライオンと子鹿達。

「ハァハァハァ……もう走れないよ」

 リィが座り込む。
 
「うう……二体に増えるなんて……怖い……」
 
 ルルも腰が抜けて動けない。
 恐怖に必死に堪えているけれど、怖いものは怖いのだ。

「くそ……! バスケットボールは蹴るもんじゃねーしな!」

 またバスケットボールを拾ってきた空太が、追いかけ鬼を睨む。

「もうカメラも電池切れだわ!」

 みんなを背後にかばいながら、光は何度か光の矢を放つ。

 が、やはり遊びのように簡単に避けられてしまう。

 しかも、どんどんと距離が縮まってきているのだ。

 ジリジリ……ジリジリ……。

「どうしようどうしよう!」

 ラーが焦る。

「もう、ダメなんじゃないの!? 麻那人君はどこなの!?」

 麻那人がいない事に気付いて、リィが叫んだ。
 もう話すこともできずに震えたルルは、リィに抱きついている。