真っ暗な校舎を見て、少しだけみんな怖くなる。
 なんだか嫌な肌をぬるりとする風が吹く。

 ザボが裏山のどこかから、見てる……光は思った。
 
 沢山の子ども達が、夜の学校で楽しみとはいえ恐怖の叫びをあげていたのだ。
 
 ザボは喉から手が出る思いで、ずっと見ていたに違いない。

 そして一番に喰いたい光を見つけたら、食い入るようにヨダレを流して見ているに違いない。

 今までは怖かった。
 でも今からは、ザボを退治する作戦が始まるんだ!

 光はザボの前に釣り糸を垂らすように『私はここだよ!』と強く裏山を睨んだ。

「じゃあ、みんなスタンバイして。離れていて怖くなってもこのバッジで話ができるから」

「これで本当に?『おーい俺だー』まじだ……すっげー」

 空太の声が、みんなのバッジから聞こえる。
 
「みんな! 絶対に追いかけ鬼と、犯人悪魔を退治するよ!」

 光の声に、みんなそれぞれ顔を見合う。
 そして円陣を組んで『おー!』と気合いを入れた。