「結構お腹空いてたから、うれしい~ありがと!」

 三時のおやつに、菓子パンが配られたけど、それ以外は何も食べていなかった。
 みんな、お腹がグーッとなって笑う。
 リィは早速パクリ。

「悪魔の形? ふふ、可愛い。ありがとう麻那人君」

「うん、お礼だよ。みんなありがとう」

 お別れのお礼? と光は思ってしまうけど、何も言えない。

 麻那人の言葉を深く考えた子は、誰もいないみたいだ。

 みんなでサクサク悪魔クッキーを食べる。
 甘くて美味しい。
 バターの良い風味がする。

 さくさくぱりぱり、ごっくん。
 
「美味しい……!」

 優しい味だ。
 なんだか身体に力が湧いてくるような気がした。

「(気のせいかな……?)」
 
「あーなんかこれ食ったら、めっちゃ良いシュートが打てそうな気がしてきたぜ!!」

「わかる! 私もめっちゃ走れそう!」

 ワイワイと空太とリィが盛り上がる。

 どうやら光の勘違いではなさそうだ。

「(パワーアップクッキー?)」

 麻那人を見ると、ウインクで返事をされた。

 今日の夜は新月。
 暗い、暗い夜。