楽しい阿鼻叫喚(あびきょうかん)の肝だめしも終わった。

 みんなで校庭の焚き火を見ながら、歌を歌った。

 テレビの取材も来て、ラーがマイクで何か喋っていた。

 閉会式も終わって、下校が始まる。
 
 もうすっかり暗いので、保護者付き添いでグループになっての下校だ。
 それぞれ帰りの住所で集まり、並んで帰る。
 
「みんな。天使の加護を外してポケットにでも入れておいて、そして見える胸元に悪魔バッジを着けて」

 こっそり麻那人が言って、みんな悪魔バッジを着けた。

 下校のグループに、光達はいない。
 でも人数を確認した先生も、誰も気付かない。

 下校グループにみんながいると思って、家にいる家族も帰ってきたと思い込む。
 不思議だけど、麻那人をみんな信じていた。
 
 魔術クラブは一度、裏庭に向かう。
 みんなの胸元の悪魔バッジが、キラッと光る。

「さぁ、みんな。これから、いよいよ計画が始まるよ」

 麻那人が言う。
 足元には鍋に入ったスライムや、色んな道具が用意してあった。
 
「頑張ろうね……!」

 光の言葉に、みんな頷いた。

「みんなお腹が減ってるよね? 僕の作ったクッキー食べて」

「え? 麻那人がクッキー作ったのかよ」

 空太が驚いた顔をする。

「そうだよ」

 みんなに、麻那人がクッキーを配った。
 大きな悪魔の形のクッキーを、一つずつ。
 
「わぁ美味しそう! 麻那人君のクッキーだなんて嬉しい!」

 ラーが喜ぶ。