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「よし!完成だーっ!」

 展示物が全て出来上がって、クラスで歓声があがる。

 壁に貼る展示も、ルルのイラストが映えた楽しい出来栄えだ。

 学校と裏山の模型も、立派にできた。
 
 肝だめしの準備を覗くと今年は追いかけ鬼を沢山作ったようで、キャーキャーみんなで追いかけ鬼の歌を歌っている。

 祭は3日後。

 夕方に光が帰り道を歩いていると、何か気配を感じて振り返る事もあったが襲われることはなかった。

 家に帰れば今日も、スライム調教。
 鍋に作ったスライムは、とりあえず動かないようにその場所に留まらせることはできるようになった。

「ステイ……ステイ」

 『ステイ』とは犬のしつけをする時に使う『待て』の意味。

 最初は麻那人が用意した『ステイの魔法陣』の上で練習させて、何度か伝えているとコポコポ……と数分はそこにいてくれるようになった。

「なんだかホコリが混ざってきちゃった」

「あははスライムだもんね」

「(麻那人がいなくなっちゃったら、スライムもどこかへ行っちゃうのかな。駄菓子屋『ぺってぽりん』にも行けなくなっちゃうのかな。……麻那人とも、もう会えないのかな……)」

 光は色んなことを考えてしまう。

「どうしたの?」

「え?」

 ジッと麻那人の顔を見てしまった光は、慌ててしまう。

「ドド、ドキマカ祭、楽しみだね」

 子ども達はみんな楽しみでワクワクしている。
 光もワクワクしている。

「うん。僕はこんなお祭りは初めてだしね」

「追いかけ鬼もザボも必ず捕まえようね、麻那人」
 
「うん」

 おじいちゃんの部屋が光と麻那人の部屋になったけど、麻那人がいなくなっちゃったら一人で寝るのはちょっと寂しいかも……。
 そう思いながら、ハンモックでプラプラ揺れながら寝る麻那人を見ながら光は眠った。