メルティ・エモーション



「普通、嫌だった?」

「面白いけど、嫌」

さらり、落っこちた言葉に、弾ける衝撃。

「そうだったの!?」

「今後、普通は開催しないでもらえると助かる」

まっすぐに向けられた言葉だった。なんてことだ。頭のてっぺんを雷で打たれた心地である。

そもそもやり方が間違っていたらしい。

……ということは。

「これって、ご褒美じゃなくて……逆?」


おそるおそる、伺うように見上げると、わたしの王子さまは勝利を浮かべるように目を細めた。


「そう。罰として、今日は俺がふみを甘やかす日」

灰慈くんに、甘やかされる……?

少し考えるだけで、思考回路がキャパオーバーして爆発しそうになる。

たしかに罰だ。今日だけで、何度好きですと言いかけたかわからない。分からないって怖いことだ。予防や防御も出来ない。これ以上ない罰だ。

罰だとしても、こんなに甘い罰ゲームがあるだろうか。

「あ、あの、それはとても困ります。うっかり役所に行きたくなります」

「今日は休みだから役所は空いてないよ」

「ゼクシィを買いたくなります」

「久遠寺先生が倒れるからやめよ」

「わたしの薬指のサイズは三号です」

「子どもサイズだな」

くつくつと灰慈くんの肩が揺れた。灰慈くんが嬉しそうにすると、わたしも楽しくなる。