メルティ・エモーション




「ごめん、面白くて」

青葉くんは聞き捨てならないセリフを吐き出す。

「面白い!?」

大きな隕石が脳内でドカン!と爆発してしばらく思考回路は停止した。まさか、青葉くんに面白がられていたとは気付かなかったのだ。

「天鷹、ふみに普通の恋愛教えたいから合コン組んで」

しかし、りるちゃんたちは平常運行だ。

「ふみと合コンしても楽しくなさそうだから組まない」

「天鷹は来なくていいから組んで」

「嫌だよめんどくさいな」

「(やっぱり、自力で頑張るしかない……!)」

天くんとりるちゃんの会話を聞いていると「なあ、今日単元テストがあるとして、どこが出るの?」と、青葉くんが身を乗り出すので「範囲までは知らない」と答えた。

意地悪をした人に素直に教えるほど、わたしは出来た人間じゃない。

「分かった。あるのはあるんだね」

「!」

鮮やかに騙され、机の上に脱力する。

こんな感じでわたしの周りはいつも賑やかだ。

しかし困った。久遠寺ふみは、大変困っている。

" 灰慈くんは口説かれるのが苦手説 "が浮上してしまったのだ。出来れば無い方向でお願いしたかった。

さらに言えば、灰慈くんにちかづくためには、普通の恋愛を経験することが必要不可欠なのかもしれない。

「(普通の恋愛……)」

恋愛って難しい。方程式みたいに解いたら答えがすぐに出てくるといいのに、わたしはまだ式さえ組み立てていない気がする。