これはまずい。
わたしのパパはこの高校の教師という事実は、クラスメイトならば全員知っている。その上で昨夜、ママからパパの仕事ぶりを聞かれたの。学校のことならおまかせあれ!なので、張り切って答えたは良い。
けれど、それってもしかして、テストの伏線?と、閃いたわたしは慌てて予習をしている。もちろんこれはわたしだけの秘密。
パパが身内に甘いと思われたら、教師として信頼を失いかねない。
けれど、娘としてテストで悪い点数を取るのも避けたいので、「べ、別に〜!急に復習したくなっただけだヨ!」とあわてて隠すけれど、時すでに遅し、というもので。
「俺にも久遠寺のノート見せて」
青葉くんはわたしのノートを見ようとするし、りるちゃんまで、「やっぱ復習するべき?」と、青葉くんの意見に乗ってしまった。
久遠寺ふみは嘘がつけない人間であることを思い出しては頭を抱えたくなった。無闇矢鱈に話さない方がいいのかもしれない。
十七歳の淑女は、口を慎むことにした。
「それより、何の話してたの?」
「ふみの趣味の話」
ふうん、と、青葉くんは話に対してはまったく興味なさそうな様子で教科書をパラパラと捲りながら、こう続けた。
「久遠寺の趣味って?」
「灰慈くんを口説くこと」
しかし悲しいかな、秒で破棄されることとなった。灰慈くんホイホイのわたしは、まだ淑女になれない。



