幼稚園の頃のあたしは、なんの変哲のない、ふつうの五歳児だった。 好きな色は水色。好きな花はチューリップ。好きなお菓子はプリンで、好きな動物は犬、好きな物語はシンデレラ。 ドラマチックな展開で王子様と恋に落ちる、王道のラブストーリーが大好きで、寝る前に何度も強請って眠りに落ちていた。 いつか現れるであろう、私の王子様を夢見て。 あたしの王子様はなんの予告もなく目の前にあらわれた。 それからのあたしの人生は、どうすれば王子様が好きになってくれるのか、を中心にまわっているように思える。