「普通に愛されて、愛される恋愛!自ら恋愛ハードモードにしなくても、手頃な恋愛がその辺にあるでしょう!おふみならいくらでも!」
りるちゃんの迫力が増す。しかし、まったく食指が動かされない。
「その恋愛には、きっとわたしの好きな人が関与してないから、全然興味がありません」
久遠寺ふみの歴史に雪平灰慈あり。灰慈くんがいない恋愛なんて、まるで星のない夜空と同じだ。
「ねえおふみ。おふみは灰慈くんを神聖化しすぎだと思う。どうする?さっきの社会人彼氏みたいに灰慈くんもその辺の女の子、家に連れ込んでたら」
想像してみた。
わたしが小学生のころ、既に高校生だった灰慈くんの隣には、たまに女の子がいた。昔はそれで飲み込めた。あのころは手が届かないんだって心のどこかで諦めていたからだ。
「は……灰慈くんは、そんなことしないもん」
けれど、すくなくとも今はちがう。そう願いたい。だって、誰が応援してくれなくても、わたしだけはわたしの恋心を応援してあげなくちゃいけない。
「あのねえ、どんなに優しくて激甘な王子さまもただの男だってことは魔法のiらんどで履修しただろ〜!?」
「うっ……」
しかし、りるちゃんの迫力に負けて飲み込んでしまった。



