メルティ・エモーション



けれども、ごめん。
わたしに助けを求められてもこまる。

「灰慈くんはわたしの彼氏じゃないよ」

「うん、わかった。で、信じるよね」

「灰慈くんはそんなことしないから、わかんない」

「うわ〜、今度内緒で灰慈くんの家に押しかけちゃえ」

「えっ……」

想像力を働かせてみる。

もしも内緒で灰慈くんの家に行って、部屋着の灰慈くんが家にいても緊張してフリーズする自信があるし、もしも灰慈くんがいなくて、勝手に家にお邪魔しても、部屋の中には入れずに玄関で灰慈くんのことを待ってると思う。

「でも、たしかにおふみの灰慈くんは確かにそんな不埒なことしないかも」

さすが灰慈くんだ。信用度がちがう。

「ていうか、ふみを彼女にしといて悲しませたらうちらが怒る」

「彼女じゃないよ」

これは毎度お決まりの押し問答だ。そうなんだよ、わたしの彼氏がね、なんて同意できなくて申し訳ない気持ちと、彼氏じゃないと主張を聞き入れてくれない疑問を毎回抱えている。

「つかおふみを彼女にしないって、おふみの灰慈くん、おかしくない?」

「全然おかしくないよ!むしろとってもすてき!!すてきすぎて失神する!今日も存在に感謝してます!」

そう、今日の灰慈くんもとってもすてきで、おかげでわたしの世界は平和だ。