メルティ・エモーション



「(どうしよう)」

空気が少し固くなって、吸い込むと喉の奥がぴりっと痺れた。

怖い。

それは心の奥に潜んでいた根本的な恐怖。他人の視線の恐ろしさが思い出された。

「あれじゃあみんなフォローするしかないじゃん」

「久遠寺先生の娘だからって、みんな遠慮するしかないのにさー」

「(パパは、)」

関係ないと思うけど……

グッと堪えて我慢した。ここでわたしが反抗したらパパに迷惑がかかるからだ。

「えっ……と、フォロー、最小限に留められるように、がんばる」

たどたどしい決意表明を紡ぐと「はーい、がんばってー」と、二人はひらっと手を翳して、どちらともなく「いこ」と言って背を向けた。


「(ぜ、全然歓迎されてない……!!)」


不安が押し寄せて手の先が震えてしまうけれど、直後、りるちゃんの「ふみ、かーえろ〜」という声が、わたしを安心させた。

「うん、帰ろ」

「プロモ動画なんだけどさ、やっぱ顔面の強さを全面的に押し出したいじゃん?てことで、ふみも出てね〜」

「わ、わたしよりも、バスケ出来る子を映した方がいいんじゃないかな」

「もちろんみんな出すよ。でも、ビジュ担は必要じゃん?ふみしかいないでしょ。去年ミスコン選ばれてたし、これは絶対!」

「そうかなあ……」

りるちゃんはプロデュース力がある。だから任せておけば問題無いのだろうけれど、わたしは上手にその話を聞けなかった。