メルティ・エモーション


青葉くんをはじめ、バスケ経験者で固められた布陣だった。天くん、流くんはバスケ未経験でも運動神経はかなり良い。

優勝を目指そうと話した矢先に打ち明けたものだから、空気はさいあくだ。……でも、決定してしまったものは仕方ない。

「が……がんばるので、よろしくお願いします!」

決意を改める。わたしのパパはバスケ部の顧問だ。呼ばれた理由は運動神経云々、パパの娘、イコール私もバスケが出来るっていう方程式が出来上がっていたのかもしれない。

こうなったら、パパに練習付き合ってもらおう……!

「つか颯斗、やっぱサッカーに行けば?」

今後の練習計画を脳内で固めていると、一人が気まずそうに青葉くんを見た。

「は?なんで?」

身をかがめ、窮屈そうに窓の下に背を凭れる青葉くんは、平然と疑問符を打った。

「サッカーは無理そうだし、他で優勝狙うために青葉を誘ったけど初心者いるなら優勝無理じゃん?」

チラッと横目で見られてしまい、思わずシュッと縮こまった。森のフクロウにでもなった気分である。

たしかに、その方がいい。絶対にいい。

わたし含め、全員がその人の提案に納得したと思う。

「嫌だよ、俺も今年はバスケ」

けれど、当の本人が乗り気じゃない。

「そうかもしんねえけど、泥舟だよきっと」

「はは、うける。クラスメイトのこと泥舟って言うなや」

青葉くんは笑顔なのに、その言葉に一瞬だけ空気が張り詰めた。

「出来ない分は全員でカバーすれば良いだけでしょ」