「あー、まあ新庄って中学の時からドゲスで有名だったもんね」
雲雀くんの妹を誘拐して人質にした、とか……。荒神くんは知らなかったようだけど、界隈では有名な話なのか。
「……んで、その後に新庄が三国のこと拉致ったろ。あの……前の日か? まあとにかくお前が拉致される前に、どうしても群青に入れる気はないのかって聞かれてな。ないつったら、三国が拉致られたわけだ」
「……そのときって、新庄、煙草吸ってました?」
「あー? 覚えてねえよ、そんなの」蛍さんはしかめっ面で首を傾げ「あー、でも吸ってたかもな。上着がヤニ臭くなって、このクソ野郎は絶対群青に入れてやんねえって思った覚えがある」
……赤倉庫の日、蛍さんの上着からした臭いは新庄の煙草で間違いなかった……。蛍さんが嘘を吐いている可能性もあるけれど、あえてそんな嘘を吐く必要はない。それに、今の私の質問の意図を汲み取ることができたとも思えない。ということは、蛍さんは新庄と会ったことを誤魔化す必要がないと考えている……。
「まあでも三国拉致ったのは桜井と雲雀を深緋に入れるためだったらしいからな。結果お前ら群青に入ってるけど……お前らと仲良しこよしで同じチームに入りたかったんじゃねーの」
「え、絶対無理ですよ。侑生なんて新庄見た瞬間半殺しにしてもおかしくないし」
「知らねーけど。つかお前ら、最初から話聞いてたんだろ? 俺と新庄の関係はほぼあのまんま、アイツがペラペラしゃべってたとおりだ。アイツが群青に入りたかった、でも俺はアイツが気に食わねえから入れなかった、以上」
「でも、桜井くんと雲雀くんが群青に入ったのって、新庄のお陰ですよね?」
「あん?」
何を言われているのか分からない、そう言いたげに眉が吊り上がる。
「新庄が話していたとおり、あの日新庄が私を拉致しなければ二人は群青に入らなかった……新庄が私を拉致したことは、二人を群青に誘っていた蛍さんにとっても利益のあることでしたよね?」
「……桜井達が群青に入ったのだけを見ればな」
「……赤倉庫で、新庄が私を襲ったと知ってたのは?」
「……なんだ三国、さっきから」
眉が怪訝そうに寄せられるほか、苛立たし気に口元が歪む。
「なんか言いたいことあんならはっきり言いな」
「永人さんって新庄と仲良いの?」
「お前と話してねーだろ、桜井」
「でも蛍さん、私が言いたいのはそういうことです」
蛍さんの眉間には益々皺が寄った。その膝の上では、指がトン、トン、と一定のリズムを刻んでいる。蛍さんが苛立っているときの癖だった。
「……赤倉庫で、新庄が私を……、私に何かしたのも、そうです。あれを知ってるのは荒神くんと雲雀くんだけなんです。なんで蛍さんは知ってたんですか? 新庄が、蛍さんにわざわざ報告したんですか?」
「……俺が新庄と組んでお前を拉致って、まんまと群青に桜井と雲雀を入れたって言いたいのか?」
その推論は胸に抱いていたとおりなのに、蛍さんの口から言われると、急にズシリと、確かな重みを持った。
でも、そんな推論の段階でいつまでも立ち止まっていたって仕方がないのだ。別に私は探偵じゃないし、捕まえなければいけない犯人がいるわけでもない。確たる証拠を見つけるまでぐずぐずと頭で考えてばかりいる必要はない。そんなことをしていたって先には進めない。
雲雀くんの妹を誘拐して人質にした、とか……。荒神くんは知らなかったようだけど、界隈では有名な話なのか。
「……んで、その後に新庄が三国のこと拉致ったろ。あの……前の日か? まあとにかくお前が拉致される前に、どうしても群青に入れる気はないのかって聞かれてな。ないつったら、三国が拉致られたわけだ」
「……そのときって、新庄、煙草吸ってました?」
「あー? 覚えてねえよ、そんなの」蛍さんはしかめっ面で首を傾げ「あー、でも吸ってたかもな。上着がヤニ臭くなって、このクソ野郎は絶対群青に入れてやんねえって思った覚えがある」
……赤倉庫の日、蛍さんの上着からした臭いは新庄の煙草で間違いなかった……。蛍さんが嘘を吐いている可能性もあるけれど、あえてそんな嘘を吐く必要はない。それに、今の私の質問の意図を汲み取ることができたとも思えない。ということは、蛍さんは新庄と会ったことを誤魔化す必要がないと考えている……。
「まあでも三国拉致ったのは桜井と雲雀を深緋に入れるためだったらしいからな。結果お前ら群青に入ってるけど……お前らと仲良しこよしで同じチームに入りたかったんじゃねーの」
「え、絶対無理ですよ。侑生なんて新庄見た瞬間半殺しにしてもおかしくないし」
「知らねーけど。つかお前ら、最初から話聞いてたんだろ? 俺と新庄の関係はほぼあのまんま、アイツがペラペラしゃべってたとおりだ。アイツが群青に入りたかった、でも俺はアイツが気に食わねえから入れなかった、以上」
「でも、桜井くんと雲雀くんが群青に入ったのって、新庄のお陰ですよね?」
「あん?」
何を言われているのか分からない、そう言いたげに眉が吊り上がる。
「新庄が話していたとおり、あの日新庄が私を拉致しなければ二人は群青に入らなかった……新庄が私を拉致したことは、二人を群青に誘っていた蛍さんにとっても利益のあることでしたよね?」
「……桜井達が群青に入ったのだけを見ればな」
「……赤倉庫で、新庄が私を襲ったと知ってたのは?」
「……なんだ三国、さっきから」
眉が怪訝そうに寄せられるほか、苛立たし気に口元が歪む。
「なんか言いたいことあんならはっきり言いな」
「永人さんって新庄と仲良いの?」
「お前と話してねーだろ、桜井」
「でも蛍さん、私が言いたいのはそういうことです」
蛍さんの眉間には益々皺が寄った。その膝の上では、指がトン、トン、と一定のリズムを刻んでいる。蛍さんが苛立っているときの癖だった。
「……赤倉庫で、新庄が私を……、私に何かしたのも、そうです。あれを知ってるのは荒神くんと雲雀くんだけなんです。なんで蛍さんは知ってたんですか? 新庄が、蛍さんにわざわざ報告したんですか?」
「……俺が新庄と組んでお前を拉致って、まんまと群青に桜井と雲雀を入れたって言いたいのか?」
その推論は胸に抱いていたとおりなのに、蛍さんの口から言われると、急にズシリと、確かな重みを持った。
でも、そんな推論の段階でいつまでも立ち止まっていたって仕方がないのだ。別に私は探偵じゃないし、捕まえなければいけない犯人がいるわけでもない。確たる証拠を見つけるまでぐずぐずと頭で考えてばかりいる必要はない。そんなことをしていたって先には進めない。



