「どう見たってお前が三国襲ってんぞ。親友のカノジョに手出して恥ずかしくねーのかお前は」
「襲ってないし手出してないって! てか侑生のカノジョって言っても形だけだし!」
「待ってそれ蛍さんに言わないでよ!」
お試し期間です、なんて先輩達には言わないつもりだったのに! 顔に涙の跡を残したまま間抜けに叫べば「形だけ? なにがだ」蛍さんの関心はそのままそっちに移り、桜井くんは解放された。桜井くんは胸元を整えながら「え、なんかお試しって……あれ、言っちゃだめだった?」目を丸くしている。もっと申し訳なさそうな顔をしてほしい。
「……ダメ……っていう明確な理由があるわけじゃないけど……そういうのは先輩には言わないでおこうって雲雀くんと……」
「なんで?」
「……なんでって言われても」
「なんかのカムフラでもしてんのか」
「そういうのじゃないです、ちゃんと告白されて付き合ってるという外形はあります。ただ……、えっと、その……」
「外形とかそういう難しい言葉使うな。桜井、バトンタッチ」
「えーっと、侑生が片想いしてるけど英凜が優しさで付き合ってる」
「だから違う!!」
「え、違うの」
「あー、なんだそういうヤツか」
「だから違うんです! 別に私が優しさで付き合ってるとかそういうのじゃなくて、その、言葉は悪いんですけど、お試し期間という……」
「だからそういうことだろ」
「違う……」
なにが違うの? と桜井くんと蛍さんが全く同じ顔をしているので、額を押さえるしかなかった。これは男女差? いやこの二人にとって好きでもない相手と付き合うのはよくあること……? でも「付き合ってるうちに多分好きになるから」という理由も、ここではっきりと口にするのは憚られた。
「つかそれでも付き合ってるは付き合ってるだろ。親友のカノジョに手出すな」
「だから手出してないって! ね、英凜、俺英凜に何もしてないよね!」
「……ちょっと怖かったから反省はしてほしいけど」
「ごめんなさい」
「お前はとりあえずそこに正座しろ」
桜井くんは大人しく地面に正座した。それなりに小石が散らばっているので結構痛そうだ。怖かったなんて、蛍さんの前では正直に口に出さないほうがよかったかもしれない。
「……んで、お前ら結局なにしてんだ、こんなところで」
「えー、蛍さんこそ」
「おい正座」
「はい」桜井くんは崩しかけた足をもう一度正座に戻して「てかなんで俺らがここにいるって気付いたの? 声聞こえた?」
「聞こえるに決まってんだろボケ。つかなんか機械の音したろ」
……やっぱりあのデジカメの音は聞こえていたのか。勝手に電源が落ちてしまったものだったので、故障してないかどうか確認するために取り出しながら「これですね……」「ああなんだカメラか」一度電源を入れて、ピロリンと起動音がし、レンズがウイィンと出てくるのを見ていると。
「……三国、俺は証拠写真作りに行くなって言ったよな?」
…………しまった。色々あり過ぎて当初の目的なんてすっかり頭から抜け落ちてしまっていたせいで、自分が蛍さんに怒られかねない行動をとっていたことを失念していた。ギラリと魔王のように光った蛍さんの双眸に首を竦ませるより早く「お前もそこに正座!」と怒鳴られてやっぱり首を竦ませてしまった。でも桜井くんと違って地面でなく縁側の上なので優しさがある。
「襲ってないし手出してないって! てか侑生のカノジョって言っても形だけだし!」
「待ってそれ蛍さんに言わないでよ!」
お試し期間です、なんて先輩達には言わないつもりだったのに! 顔に涙の跡を残したまま間抜けに叫べば「形だけ? なにがだ」蛍さんの関心はそのままそっちに移り、桜井くんは解放された。桜井くんは胸元を整えながら「え、なんかお試しって……あれ、言っちゃだめだった?」目を丸くしている。もっと申し訳なさそうな顔をしてほしい。
「……ダメ……っていう明確な理由があるわけじゃないけど……そういうのは先輩には言わないでおこうって雲雀くんと……」
「なんで?」
「……なんでって言われても」
「なんかのカムフラでもしてんのか」
「そういうのじゃないです、ちゃんと告白されて付き合ってるという外形はあります。ただ……、えっと、その……」
「外形とかそういう難しい言葉使うな。桜井、バトンタッチ」
「えーっと、侑生が片想いしてるけど英凜が優しさで付き合ってる」
「だから違う!!」
「え、違うの」
「あー、なんだそういうヤツか」
「だから違うんです! 別に私が優しさで付き合ってるとかそういうのじゃなくて、その、言葉は悪いんですけど、お試し期間という……」
「だからそういうことだろ」
「違う……」
なにが違うの? と桜井くんと蛍さんが全く同じ顔をしているので、額を押さえるしかなかった。これは男女差? いやこの二人にとって好きでもない相手と付き合うのはよくあること……? でも「付き合ってるうちに多分好きになるから」という理由も、ここではっきりと口にするのは憚られた。
「つかそれでも付き合ってるは付き合ってるだろ。親友のカノジョに手出すな」
「だから手出してないって! ね、英凜、俺英凜に何もしてないよね!」
「……ちょっと怖かったから反省はしてほしいけど」
「ごめんなさい」
「お前はとりあえずそこに正座しろ」
桜井くんは大人しく地面に正座した。それなりに小石が散らばっているので結構痛そうだ。怖かったなんて、蛍さんの前では正直に口に出さないほうがよかったかもしれない。
「……んで、お前ら結局なにしてんだ、こんなところで」
「えー、蛍さんこそ」
「おい正座」
「はい」桜井くんは崩しかけた足をもう一度正座に戻して「てかなんで俺らがここにいるって気付いたの? 声聞こえた?」
「聞こえるに決まってんだろボケ。つかなんか機械の音したろ」
……やっぱりあのデジカメの音は聞こえていたのか。勝手に電源が落ちてしまったものだったので、故障してないかどうか確認するために取り出しながら「これですね……」「ああなんだカメラか」一度電源を入れて、ピロリンと起動音がし、レンズがウイィンと出てくるのを見ていると。
「……三国、俺は証拠写真作りに行くなって言ったよな?」
…………しまった。色々あり過ぎて当初の目的なんてすっかり頭から抜け落ちてしまっていたせいで、自分が蛍さんに怒られかねない行動をとっていたことを失念していた。ギラリと魔王のように光った蛍さんの双眸に首を竦ませるより早く「お前もそこに正座!」と怒鳴られてやっぱり首を竦ませてしまった。でも桜井くんと違って地面でなく縁側の上なので優しさがある。



