太腿の下をザラリとした何かが、内側をぬるりとした何かが撫でた。頭の中は変わらず混乱していて、その行為の目的の見当がつかない。この人は一体何をしたいのだろう。ただだらだらと、何か二種類のものを使って太腿を撫で回すだけだ。それに何の意味があるのか、何の意味もないのに私を揺さぶるためにそんなことをしてるのか分からない。
「さらしってどっかに結び目あんだっけ?」
「どっかに突っ込んであるだろ」
ギュ、と押さえつけるように胸の上を手が動き、びくりと体が身動ぎした。なにかを探すように指がさらしの上をなぞる。ぞわりと背中に悪寒が走った。
「つかマジで全然抵抗しねーな。頭打って気絶してんの?」
「目開けたまま?」
「ねー三国ちゃん、生きてるー?」
手がさらしの上から胸の形を確かめるように動いた。びくりと背中が震えた瞬間「あー生きてる生きてる」と笑われた。
「てかどーすんの、このままやんの?」
「あー、どすっかな。写真は欲しいよね。ま、和姦だけど」
ゲラゲラと笑い声が降ってきた。呆然としたまま、さらしの上から指が突っ込まれるのを見た。引っ張って千切ろうとするように、その指にぐっと力が籠もるのを見た。千切れないと分かるとさらしを引きずり降ろそうとするように四本の指がかけられるのを見た。
「あれ、見た目よりある」
「お前、役得だなー。変われよ」
「いーだろ、後で回してやるって」
新庄のときと同じだ。他人の手で触られて初めて、自分の体の柔らかさが分かる。びくり、と体が身動ぎした。
「えー、てか三国ちゃん処女? 俺、処女好きなんだよねー」
まただ、また、ぬるりとした感触に襲われた。鎖骨の下からさらしの上までの部分に、ぬるりと妙な感触がした。
あ、気持ち悪い──。
そのとき、ドゴッとその視界の中では有り得ない音がした。地面の上で藻掻く音と、モガガと言葉にならない呻き声がした。
私の上にいた男が吹っ飛んだ。数分──いやもしかしたら数十分か、感覚ではそれよりもっと長い時間──ぶりに口が開放されて、ハッと短い呼吸をした。
「……何してる?」
ゴッ、ドゴッ、と鈍い音がし始めた。それも、一体どのくらいの時間なのか分からなかった。ただその音は間違いなくずっと聞こえていて、たまに「悪かった」「許してくれ」と途切れ途切れの悲鳴が聞こえた。
「ギャアアアッ」
ドン、という花火の音に混ざって太い悲鳴が聞こえた。ヒイヒイと泣き声のような呼吸音も聞こえた。それでもまだゴンッと鈍い音がした。
「三国」
一体、何の音だったのか。混乱したままの体が不意に掴まれた。
「三国!」
そのまま上半身を起こされる。腕を掴まれる痛みで「痛……」とやっと喉から声が出た。
「英凜!」
両頬を掴んで上向かされて、目の前にいるのが雲雀くんだと初めて気が付いた。
「……なんで雲雀くん……」
ほ、と雲雀くんの口から小さな息が漏れた。いつもの無表情だったけれど、その眉尻は少し安心したように下がっている。頬には血がついていた。
「……雲雀くん、怪我……」
手を伸ばすと、ぬるりと血特有の生温い感触が指の腹に広がった。雲雀くんの目がその指を捉えようとするようにぴくりと動く。
「してない」
「え、でも血……」
「それより、ちょっとここ持て」
「さらしってどっかに結び目あんだっけ?」
「どっかに突っ込んであるだろ」
ギュ、と押さえつけるように胸の上を手が動き、びくりと体が身動ぎした。なにかを探すように指がさらしの上をなぞる。ぞわりと背中に悪寒が走った。
「つかマジで全然抵抗しねーな。頭打って気絶してんの?」
「目開けたまま?」
「ねー三国ちゃん、生きてるー?」
手がさらしの上から胸の形を確かめるように動いた。びくりと背中が震えた瞬間「あー生きてる生きてる」と笑われた。
「てかどーすんの、このままやんの?」
「あー、どすっかな。写真は欲しいよね。ま、和姦だけど」
ゲラゲラと笑い声が降ってきた。呆然としたまま、さらしの上から指が突っ込まれるのを見た。引っ張って千切ろうとするように、その指にぐっと力が籠もるのを見た。千切れないと分かるとさらしを引きずり降ろそうとするように四本の指がかけられるのを見た。
「あれ、見た目よりある」
「お前、役得だなー。変われよ」
「いーだろ、後で回してやるって」
新庄のときと同じだ。他人の手で触られて初めて、自分の体の柔らかさが分かる。びくり、と体が身動ぎした。
「えー、てか三国ちゃん処女? 俺、処女好きなんだよねー」
まただ、また、ぬるりとした感触に襲われた。鎖骨の下からさらしの上までの部分に、ぬるりと妙な感触がした。
あ、気持ち悪い──。
そのとき、ドゴッとその視界の中では有り得ない音がした。地面の上で藻掻く音と、モガガと言葉にならない呻き声がした。
私の上にいた男が吹っ飛んだ。数分──いやもしかしたら数十分か、感覚ではそれよりもっと長い時間──ぶりに口が開放されて、ハッと短い呼吸をした。
「……何してる?」
ゴッ、ドゴッ、と鈍い音がし始めた。それも、一体どのくらいの時間なのか分からなかった。ただその音は間違いなくずっと聞こえていて、たまに「悪かった」「許してくれ」と途切れ途切れの悲鳴が聞こえた。
「ギャアアアッ」
ドン、という花火の音に混ざって太い悲鳴が聞こえた。ヒイヒイと泣き声のような呼吸音も聞こえた。それでもまだゴンッと鈍い音がした。
「三国」
一体、何の音だったのか。混乱したままの体が不意に掴まれた。
「三国!」
そのまま上半身を起こされる。腕を掴まれる痛みで「痛……」とやっと喉から声が出た。
「英凜!」
両頬を掴んで上向かされて、目の前にいるのが雲雀くんだと初めて気が付いた。
「……なんで雲雀くん……」
ほ、と雲雀くんの口から小さな息が漏れた。いつもの無表情だったけれど、その眉尻は少し安心したように下がっている。頬には血がついていた。
「……雲雀くん、怪我……」
手を伸ばすと、ぬるりと血特有の生温い感触が指の腹に広がった。雲雀くんの目がその指を捉えようとするようにぴくりと動く。
「してない」
「え、でも血……」
「それより、ちょっとここ持て」



