「そうそう。みんな一組の特別科。笹部──は知り合いなんでしょ、あとは……」
「笹部?」
胡桃が残り二人の男女を紹介する前に、雲雀くんの怪訝な声が挟まった。その目はじろじろと笹部くんを見て……「ああ、お前がね」と鼻で笑った。笹部くんの顔は当然「は?」とでも聞こえそうにしかめられたけど、雲雀くんは無視して私にフライドポテトを差し出す。
「三国、食う?」
「た……食べる……」
けど、今の笹部くんに対する嘲りはなに? 困惑しているのはきっと私だけではないはずだ、が、雲雀くんに逆らえるのはここにいる中では桜井くんだけだ。そしてその桜井くんは「えー俺は? 俺も食べたい」とやはり無視。
「英凜ーっ」そこに飛び込んできた明るい声は陽菜のもので「ごめんめっちゃ並んでた! でもおじさんがカステラサービスくれた! やっぱあたしって可愛いからかな!」と本当にこの場にそぐわない明るいことを言ってくれた。そして時間差で胡桃達の存在に気が付き「え、胡桃ちゃんじゃん、やば、死ぬほど可愛くね!?」とどこぞの群青の先輩のような本音を口走る。
「ありがと! めっちゃ気合入れたから!」
「マジか。いや気合入れてなくてもめっちゃ可愛いっしょ。浴衣美少女コンテストあるじゃん、あれ出ないの?」
「人前に立つの向いてないから。池田さん、だっけ? 池田さんも浴衣可愛いよね」
「えへー、でしょー、このためにあたしも気合入れて買った」
あの二人は自己肯定レベルが同じ、と。私だったら可愛いと言われてもそうでしょうとは言えない。
「え、つか笹部じゃん」
「あー、うん」
そして陽菜はようやく笹部くんの存在に気が付いた。陽菜はポッカリとその口を丸くして「えー、マジか、なんかイケメンになってね?」と笑いながら遠慮なくその肩を小突いた。
イケメン……に……? イケメンハードルの高い陽菜が言うのだからきっと笹部くんはイケメンになったのだろうけれど、私から見ていてもそれはよく分からなかった。でもやっぱり笹部くんも言われ慣れているのだろう、その返答は「そこまでじゃない、背伸びて痩せたなみたいなのは言われるけど」と否定はしなかった。
ただ、私の両脇の二人は「え、あれイケメン? マジ? 永人さんのほうが十センチは低いけど永人さんのほうが十倍イケメンだろ」「雰囲気の問題じゃねーの。なんかデカいヤツ、以上の印象がねー」とボソボソ悪口を言っている。そうだ、悪口だ。何が気に食わないのか分からないけど、この二人からすれば笹部くんはどうにもいけ好かないというヤツらしい。
「てかまだ野球部なんだっけ? そういや笹部が野球部の一年のイケメンランキング二位みたいな話聞いたわ。どんだけイケメンいねーんだよって思ったんだけど」
「ひっでーこと言うんじゃねーよ」
「いやいや思った、だから、過去形だから。なあ英凜!」
「え、なにが? あ、いや、ごめん、聞いてなかったから聞き返したんだけど」
ブッと両脇の二人が吹き出したので慌てて付け加えた。でもきっと時すでに遅しというやつで、陽菜は珍しくその眉間に皺を寄せて「英凜……お前本当にそいういうところだぞ……」と渋い声をしていた。
笹部くんの顔もさすがに不機嫌そうだった。それもそうだ、中学二年で告白を無下に断られて以来ろくに話してもいない相手が相変わらず自分に興味を抱いていないなんて腹立たしいだろう。
腹立たしい……。微妙にニュアンスが違う気がして考え込んだけど、正確なニュアンスは分からなかった。
「笹部?」
胡桃が残り二人の男女を紹介する前に、雲雀くんの怪訝な声が挟まった。その目はじろじろと笹部くんを見て……「ああ、お前がね」と鼻で笑った。笹部くんの顔は当然「は?」とでも聞こえそうにしかめられたけど、雲雀くんは無視して私にフライドポテトを差し出す。
「三国、食う?」
「た……食べる……」
けど、今の笹部くんに対する嘲りはなに? 困惑しているのはきっと私だけではないはずだ、が、雲雀くんに逆らえるのはここにいる中では桜井くんだけだ。そしてその桜井くんは「えー俺は? 俺も食べたい」とやはり無視。
「英凜ーっ」そこに飛び込んできた明るい声は陽菜のもので「ごめんめっちゃ並んでた! でもおじさんがカステラサービスくれた! やっぱあたしって可愛いからかな!」と本当にこの場にそぐわない明るいことを言ってくれた。そして時間差で胡桃達の存在に気が付き「え、胡桃ちゃんじゃん、やば、死ぬほど可愛くね!?」とどこぞの群青の先輩のような本音を口走る。
「ありがと! めっちゃ気合入れたから!」
「マジか。いや気合入れてなくてもめっちゃ可愛いっしょ。浴衣美少女コンテストあるじゃん、あれ出ないの?」
「人前に立つの向いてないから。池田さん、だっけ? 池田さんも浴衣可愛いよね」
「えへー、でしょー、このためにあたしも気合入れて買った」
あの二人は自己肯定レベルが同じ、と。私だったら可愛いと言われてもそうでしょうとは言えない。
「え、つか笹部じゃん」
「あー、うん」
そして陽菜はようやく笹部くんの存在に気が付いた。陽菜はポッカリとその口を丸くして「えー、マジか、なんかイケメンになってね?」と笑いながら遠慮なくその肩を小突いた。
イケメン……に……? イケメンハードルの高い陽菜が言うのだからきっと笹部くんはイケメンになったのだろうけれど、私から見ていてもそれはよく分からなかった。でもやっぱり笹部くんも言われ慣れているのだろう、その返答は「そこまでじゃない、背伸びて痩せたなみたいなのは言われるけど」と否定はしなかった。
ただ、私の両脇の二人は「え、あれイケメン? マジ? 永人さんのほうが十センチは低いけど永人さんのほうが十倍イケメンだろ」「雰囲気の問題じゃねーの。なんかデカいヤツ、以上の印象がねー」とボソボソ悪口を言っている。そうだ、悪口だ。何が気に食わないのか分からないけど、この二人からすれば笹部くんはどうにもいけ好かないというヤツらしい。
「てかまだ野球部なんだっけ? そういや笹部が野球部の一年のイケメンランキング二位みたいな話聞いたわ。どんだけイケメンいねーんだよって思ったんだけど」
「ひっでーこと言うんじゃねーよ」
「いやいや思った、だから、過去形だから。なあ英凜!」
「え、なにが? あ、いや、ごめん、聞いてなかったから聞き返したんだけど」
ブッと両脇の二人が吹き出したので慌てて付け加えた。でもきっと時すでに遅しというやつで、陽菜は珍しくその眉間に皺を寄せて「英凜……お前本当にそいういうところだぞ……」と渋い声をしていた。
笹部くんの顔もさすがに不機嫌そうだった。それもそうだ、中学二年で告白を無下に断られて以来ろくに話してもいない相手が相変わらず自分に興味を抱いていないなんて腹立たしいだろう。
腹立たしい……。微妙にニュアンスが違う気がして考え込んだけど、正確なニュアンスは分からなかった。



