追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「あ…あの、」

響さんは私に掴まれた腕を
びっくりしたように見ている。

どうして咄嗟に掴んだのかは分からないけど
響さんの哀しそうな表情を
見ていられなかったし、何より…

「…確かにお金は今のままで十分ですけど、
響さんが私が傍にいて安心するなら、
…働いてみたいです」

「…」

「それにホテルより家の方が
響さんも時間を気にせず
ちゃんと眠れるだろうし…
私も安心ですから」

…いくら響さんが好きで
私と会っているとはいえ…

眠そうにしながら時間を取って
私の傍で安心したように
熟睡している響さんを見れば

少なからず…私も愛情は沸いてしまう。

…それに響さんの家に行けば
もっと何か思い出すかもしれないし。