追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「やっぱり、そうなんですね」

…何となく予想していた事だった。

細身だけど、抱き締められた時
腕も胸板も凄く固くて逞しくて
筋肉で鍛え上げられているのが分かるし…。

キリッとした綺麗な顔立ちと
怒った時に出す低い声は
どことなく圧も感じるし…。

ヤクザの若頭だったら…
あんな大金を
すぐに用意する事だって簡単だろう。

「…響さんの口から本当の事を聞けて
凄く嬉しいです。良かった」

私が微笑んでそう言えば

「…花は、俺の事嫌だとか思わないの?
あんな刺青見て…関わりたくないとか…」

ずっと寂しそうに言う響さんの表情を見るのが
少し辛くなり…。