追憶の愛情~想い出せない貴方へ~

「何でって…
お客様にあえて言う事でもないですけど、
お金に困ってるからで…」

あまりにも真剣な目付きで言われ
何となく私が素直に答えれば

"…身体を売らないといけないくらい
生活が苦しいって事だよね?何に困ってるの?"

響さんに質問攻めされ
最初はとても厄介な客に捕まったのかと思い

「あの、今日は私これで失礼します。
よろしければまたご指名を…」

何とか穏便に済ませようと
ソファから立とうとしたが
それを制止するように肩に手を置かれ

"…お願いだから答えて欲しい"

…どうしてそんなに泣きそうな表情で
私を見つめるのか分からず、

私は思わずそのまま動きを止めた。